ミラーリングの心理学がテレビで紹介されたこともあり、今では多くの人がミラーリングの心理的効果を知るようになりました。
さらにこのミラーリング効果を利用して、恋愛を自分の有利な展開にもっていったり、ビジネス交渉を成立させる人までいますが、ミラーリングの心理的効果や好意を抱かせる理由を知れば、より上手にミラーリングを使いこなせるようになるでしょう。
今回の記事では、そんなミラーリングの心理学|効果で好意を抱かせる方法について、4選にまとめてみました。
相手をマネれば心が通う
人間も動物も、初対面の相手を前にしたときにまずやることがある。
それは、「こいつは自分に対して好意的か、そうでないか」という判断である。
特に、こちらが何かのしぐさをしたとき、相手がそれをまねるかどうかは重要な決め手となります。
鏡を見るようにお互いの動きやしぐさをマネることは、「ミラーリング」と呼ばれる。
このミラーリングはお互いの存在を受けいれ、信頼関係を築くための大切な方法ですが、私たちは普段ほとんど意識していません。
このミラーリングの分かりやすい例が「あくび」です。
一人があくびをすると、その場にいる人が次々とあくびをしはじめる。
ロバート・ブロヴアィンによると、あくびの伝染力はとても強く、相手が実際にあくびをしなくても、ただ口を大きく開けるだけで、こちらはあくびをしたくなると言います。
ミラーリングの心理的効果
ミラーリングの心理的効果には、「ほら私を見て。あなたと同じことをしているでしょう。あなたと同じ気持ちを分かちあっているんですよ」という無言のメッセージが込められています。
動きを同調させると気持ちが一つになるのは、コンサートで飛びはねる聴衆や、スタジアムで起きるウェーブを見ても分かるでしょう。
怒りを抱えた群衆がたちまち暴徒と化すのも、お互いの態度をまねしあい、感情を増幅させるからです。
また、他の人のまねをしたい、同調したいという欲求が分かりやすく現われるのが行列です。
バス停や銀行、美術館で行列をつくるときは、見ず知らずの者同士が協力しあい、無言のルールに従って列に並ぶ。
ミシガン大学のジョゼフ・ハインリッヒ教授によると、ミラーリングの欲求は人間の脳にしっかり配線されているものだという。
なぜなら、お互いに動きを合わせて協力したほうが、より多くの食べ物を得られるし、共同体も発展するからです。
このように、ミラリングの心理効果は、相手の警戒心をやわらげ、信頼関係を築くうえで絶大なる効果をもたらします。
同じ波長になる
もしもミラーリングが無意識のうちに、二人の間に起こったのであれば、それはボデイランゲージや顔の表情が同調するのは、同じ感情を共有したり、気分の波長が合っていたり、お互いに親近感を抱いているときです。
私たちは母親の胎内にいるときから、早くもそういう「同調」を経験している。
子宮の中で育つ胎児は、母親の心臓の鼓動や、身体の働きと足並みを揃えているのです。
つまりミラーリングの傾向は、生まれたときにすでに備わっているのである。
付きあいだして日が浅いカップルは、ミラーリングの実例の宝庫です。
例えば、「女性が食べ物を口いっぱいにほおばると、男性は思わず自分の口の端を拭こうとする」、「彼が言いかけた言葉を、彼女が引きついで話を締めくくる」など。
「あの人とはウマが合う」と感じるときは、知らず知らずのうちにお互いミラーリングをして、動作を同調させているはずです。
逆に、レストランで料理を注文するとき、「あなたは何にするの?」とお互い探りを入れるのは、自分だけ変わったものを頼んで和を乱すのを恐れている心理の表れです。
ロマンチックなデートに音楽が欠かせないのも、二人が音楽に合わせて指先や足でリズムを刻んでいれば、自然と動きが同調し、気持ちが寄りそうといった心理的効果が得られるのです。
細胞レベルのミラーリング
アメリカの心臓外科医メメット・オズ博士は、心臓移植を数多く手がけた経験から、興味深い事実を報告しています。
心臓の (およびそれ以外の臓器も) 細胞には、もとの持ち主の記憶がすりこまれていて、移植された人のなかでその記憶がよみがえることがあるというのです。
さらに驚くべきことに、生前の提供者と一度も会ったことがないにもかかわらず、そのしぐさや身ぶりの癖が現われる患者もいた。
心臓の細胞が、提供者と同じボディラン ゲージをするよう脳に指令を送ったのではないかとオズ博士は推測する。
これとは反対に、自閉症患者はミラーリングができないために、他者とのコミュニケーションがとれません。
ボデイランゲージとそこに込められた感情の間には、因果関係が成立している。
例えば自信満々のとき、人は自然と胸を張って堂々とした体勢になる。
逆にわざと胸を張って堂々としていると、自信がふつふつと湧いてくるのに気づくだろう。
当然周囲も、「こいつは自信があるな」と見てくれる。
だからお互いのボディランゲージをまねることは、心と心の距離を縮めて、絆を結ぶまたとない方法なのです。
声のミラーリング
ミラーリングは姿勢やしぐさだけではありません。
相手ともっと近づきになりたい、距離を縮めたいとき、人は声のイントネーションや喋る速さ、さらにはアクセントまで一致させようとします。
ちょうど声を合わせて歌うように、一人が手ぶりでリズムを刻むと、もう一人がうなずきで合いの手を入れることもある。
また、すっかり仲良くなって気のおけない関係になると、ボデイランゲージのミラーリングは減ってくる。
これはお互い、相手がどういった動きをするか簡単に予測がつくからです。
そうなると、二人はもっぱら声のミラーリングで絆を深めるようになります。
声のミラーリングをやりやすくするためにも、会話のときは喋る速さに気をつけた方がいいでしょう。
間違っても、相手より早口で喋らないこと。
喋る速さは、脳が情報を意識的に分析する速さと一致しています。
だから相手と同じ速さか、少しだけ遅く話すようにして、しかも向こうのイントネーションをまねるようにする。
時に電話で約束をとりつけたいときは、声のミラーリングが絶対不可欠です。
デートやビジネスに活用しよう
いかがだったでしょうか。
ミラーリングというのは自然にできなければ、あまり効果は期待できないと思っておいてください。
もしもあなたが活用したいのであれば、話が盛り上がっている時に意識的に使ってみるのがいいでしょう。
話が盛り上がっている時というのは、話の内容に相手も夢中になっているので、意識的にミラーリングしていることが気づかれにくい状態であります。
相手が無意識のうちに親近感がわく方法でもありますから、あくまで距離感が近くなるのであり、この心理テクニック1つで相手を落とせるなんて勘違いはしないように。
また、「読心術を身に付ける方法10選【基本編】」もセットで読んでみましょう。
メンタリストDAIGOにより有名になったこの言葉ですが、実は基本を知ればあなたも読心術を身に付け、相手を意のままに操ることができるのです。
この記事へのコメントはありません。