人がささいなことでぶつぶつ文句を言う時というのは、本当は「私はもっと偉いのに、こんな扱いを受けるなんて酷い!」という心理が働いていることがほとんどであり、この心理的欲求がクレーマーを生み出します。
さらに、無意識に「おそらく私の価値はこの程度なんだ」という思いがあって、自己価値に疑問を感じるようになっているため、やたらにイライラしてしまうのである。
もちろん、もっともな不平の種があるのかもしれませんが、いずれにせよ、以下の作戦を使えば、相手がどんなにいらだっていても、うまく静めることができ、慣れてくれば悪質クレーマーを撃退することも可能となるはずです。
こんな時は、実際問題よりも、相手の自我に注意を向ける必要があります。
特に、その「問題」が取るに足らなかったり、バランスを欠いていたりしたら、なお自我を向けることが必要となります。
目次
①ネタがつきるまで、徹底的に吐き出させよう
クレーマーの心理を逆手に撃退するには、まず相手の話に耳を傾ける必要があります。
賛成か反対かを言ってはいけないし、議論してもいけません。
例えその人に責任の一端があったとしても、「あなたに落ち度があるのだ」というようなことは当分言わないでおくことが重要です。
相手の気がまだ動転しているときに、「すみません」以外のことを言うと、相手はさらに身構えて理屈をこねてくる可能性が高まる一方です。
これではまるで、今心臓発作を起こして苦しんでいる人に、健康的な食事の取り方や規則正しく運動する方法を説明するようなものだ。
ですから、まず目の前のトラブルを解決してから、そこまでに至ったいろいろな問題に取り組むことが大事です。
決して守りの姿勢に入ってはいけません。
そんなことをすると、言い争いになってしまうだけです。
クレーマーは、何かを打ち明けて胸のもやもやを無くしたいだけなのかもしれない。
それなら喋らせておけばいいし、あるいは、ケンカの種を探している心理的可能性も考えられるのです。
そんなときも黙って話を聞いてあげれば、クレーマーとはいえ、そのうち話すことも尽きるでしょう。
②言い換えには予想以上の効果が!
クレーマーの不平不満を分かりやすく言い換えてみましょう。
これで、あなたが話をきちんと聞いて理解していることが相手に伝わります。
それから共感を示しましょう。
ただ、「それは前代未聞だ!」などと、驚いたふうなことを言ってはいけません。
なぜなら、「どうして自分だけがこんなバカを見るんだ」と思わせてしまうからです。
そうなればクレーマーは余計に悲劇のヒロインを演じ、あなたに自分が被害者だという事実を認めさせようと必死になるはずです。
③頼み事を聞いてもらえませんか?
相手に何かしてくれるように頼むと、心理学で考えると、相手の話を真剣に受けとめていることの表われとなります。
これには面白い効果がある。
相手の問題を自分の問題として考えていますよ、というメッセージを伝えることになるのです。
こちらの話を聞いてもらえませんか?という質問でもいいので、とにかく相手に1つ質問を問いかけてみましょう。
④思いがけない贈り物を用意する
これは、クレーマーの気持ちを静める特効薬となる。
この「茶番劇」の埋め合わせに、相手のために何か特別なことをするつもりであることを伝えましょう。
ただし、それが何であるかは話してはいけません。
クレーマーをびっくりさせたいのですから。
これで、あっという間にクレーマーは落ち着きを取り戻すでしょう。
その心理的理由は主に三つです。
第一に、誰でも 「思いがけない贈り物」をもらうのは好きなものです。
怒りが消え、ちょっぴりわくわくした気分になれる。
第二に、これについては不満をいって、言い争うわけにはいかない。
なぜなら、その「贈り物」が何か分からないからです。
第三に、それが本当に素晴らしいものであるなら、あなたに向かって怒りをぶつけすぎて、それをもらい損ねるようなまねはしたくないからです。
こうしてクレーマーの気持ちがいったん静まれば、あなたも状況判断がうまくできるようになり、その時に必要で適切な対処法・撤退方法を見つけられるでしょう。
思わす試したくなる実例集
あなたはホテルの支配人であるとします。
そして、緊急のファックスが入っていたのに、そのことを翌日になって初めて知らされたという泊まり客に応対しているところです。
場所はホテルのフロント。
当然のことですが、まず客の言い分を黙って真剣に聞く。
それから、相手の言ったことを簡単に言い換えて確認します。
「そうしますと、〇〇様宛てのファックスを私どもはフロントに丸一日置いたままにしていた、ということですね。それは本当に申し訳ございませんでした。このような事態を引き起こしまして、誠にお恥ずかしい限りでございます。今後は、私の責任におきまして、快適なご滞在をお約束させていただきますので、何かございましたら、何なりとお申しつけくださいませ。」
「それから、お客様に一つお願いしたいことがございますが、よろしいでしょうか。当ホテルの副社長がことのしだいをお客様から直接おうかがいしたいと申しておるのですが、副社長に詳しくお話し願えませんでしょうか?」
(話もそろそろ終わる頃) 「それから、おわびのしるしといっては何ですが、特別にサービスをさせていただきたいと存じます。内容につきましては、お客様にびっくりしていただきたいものですから、ここで申し上げるのは控えさせていただきたいと存じますが、必ずやお喜びいただけるものと存じます」
ここで何が起こったのか見てみよう。
〇〇氏は、ファックスが届いていたのに、誰もが無関心で知らせてもくれなかったと腹を立てていた。
しかし、今や「VIP待遇」で、ホテルの副社長が話したいと申し出ている。
これで、ホテル側が彼の話に真剣に耳を傾けてくれたことが分かったということになります。
実は、それこそ彼が望んでいたことだったのである。
ここがポイント!
人が何かささいなことで文句をいうのは、自己感覚と主体感覚を失っているからです。
要するに、自分の話を聞いてもらいたいのである。
自分だって尊敬されるべきだ、無視しないでくれ、という心理が働き、自我が要求しているのである。
ならば敬意を表し、存在を認めてあげればいい。
どんな場合でも、自尊心を満たしてあげれば、怒りは静まり、たいていは、それで一件落着となる。
これといった理由もなしに不平不満をいったり、批判したりするときは、その場の環境や状況はほとんど関係がない。
その人自身、とりわけ本人の自我が深く関係しているのである。
悪質クレーマーの場合も基本的に同じです
いかがだったでしょうか。
例え相手が悪質クレーマーだったとしても、基本的に対処法は同じです。
もしも、またいつもと同じクレーマーだ!ということが分かり、何度も同じようなクレームをつけてくるのであれば、とにかく警察に相談することです。
悪質クレーマーの場合は犯罪に当たることがほとんどなので、自分一人の力で撃退しようとするのではなく、他力本願で悪質クレーマーと戦っていく方法がベストでしょう。
自分一人の力で撃退しようとすれば、新たなトラブルの原因となってしまう恐れがあるので、単独行動は避けるべきです。
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