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恋愛依存症者の行動、3つの特徴
恋愛依存症者の行動には三つの大きな特徴があります。
1. 過度な時間と関心、または「自分自身の存在よりも優先されるべき価値」を依存の対象である人にそそぎ、その傾向は強迫的である
2. 相手に対して、つねに「無条件で確実な愛情」という非現実的な期待を持つ
3. 関係を持っている間、自己管理がおろそかになる
恋愛依存症は恋愛関係にある女性にもっとも頻繁に見受けられますが、男性でも恋愛依存症になる可能性があります。
またその他の人間関係、親や子ども、親友、などが原因で、恋愛依存症になる可能性があります。
2つの怖れ
行動上の三つの特徴に加え、恋愛依存症者は二つの大きな怖れに囚われています。
もっとも顕著なのは「見捨てられへの怖れ」です。
恋愛依存症者は見捨てられることを避けるためなら、ほとんど何にでも耐えることができます。
この怖れは幼児期の体験に基づいています。
恋愛依存症者は皮肉なことに、見捨てられたくない、誰かと安定した関係を持ちたいと心から望んでいるのですが、実際に築こうとする緊密で要求過多の関係は、健全で親密な関係というよりもむしろ束縛という形になってしまいます。
そして少なくとも無意識のうちに、そのような健全で親密な関係を怖れているのです。
二つ目の原因も、幼児期に物理的もしくは精神的に(またはその両方)「見捨てられた」経験に基づいています。
恋愛依存症者は、自分たちを見捨てた人と親密な関係を十分に持つことができなかったために、健全に親しくなる方法がわからないのです。
ですから恋愛依存症者は大人になり、誰かと親しい関係になったり、そうなるととを望んでいても、実際にそのチャンスを差し出されると、どうしてよいのかわからずに恐がってしまいます。
ある一定の親密度に達するとパニックを起こして、相手との間に距離を生じさせるような行動をわざととることもあります。
「見捨てられへの怖れ」と「親密さに対する怖れ」というこの二つの恐怖感は、苦しく自滅的なジレンマを恋愛依存症者にもたらします。
恋愛依存症者は意識的には親しくなることを望んでいても、健全で親しい関係には耐えられません。
だからこそ無意識のうちに、健全で親密な関係を築くことのできないような相手を選んでしまうのです。
過度の時間と価値を相手に与える
恋愛依存症の最大の特徴は、他人に対して過度の時間と評価を与えることです。
相手のことしか頭に入らなくなり、取りつかれたようにパートナーのことを考え、一緒にいたい、触れていたい、語りかけたい、話を聞きたい、そして愛され、大切にされたいと思うのです。
最初のうちは、こうした人間関係によって恋愛依存症者の気分は高揚します。
何よりも相手のテキパキとした能力に憧れて、相手を自分より上の立場の人間、またはより大きな力を持った人間としてとらえるのです。
相手がより大きい力を持っているという認識は、過大評価につながります。
そして、この人なら自分を人生の浮き沈みから救い、痛みや破滅から守り、面倒をみて育ててくれると期待するようになるのです。
つねに無条件で堅実な愛情を期待する
恋愛依存症に顕著なもう一つの特徴は、つねに相手に対して無条件で確実な愛情を期待することです。
これは自尊心の欠如を映しだしています。
恋愛依存症者は、たいてい自分の価値に深い疑念を抱いていて、その傷ついた自尊心を癒すために無条件で確実な愛情を求めます。
恋愛依存症者は極端に低い自尊心による苦痛を和らげてくれる、無条件でつねに自分を認め、受け入れてくれるような愛を対人関係に求めます。
自己管理および自己評価の低下
恋愛依存症者はのめり込む相手を見つけると、自己評価や自己管理を切り捨てるようになります。
いずれにしても、恋愛依存症者は自分を評価したり、面倒をみるのは他人の役割だと考えているので、自己管理能力はあまり高くありません。
ですから、ある人間関係をスタートすると、相手にその役目を期待して、以前は自分のためにしていたこともすべてやめてしまうのです。
幼児期の見捨てられ体験
恋愛依存症に陥ってしまう原因のは、幼児期に見捨てられた痛みが癒されないまま放置され、他人に抱き支えてもらわなければ安心できないという感覚を持っているためだと考えられます。
他人が自分の面倒をみて、安心感を与え、一人の人間として自信を持たせてくれるパワーを持っているはずだという誤った考えが、頭から離れないのです。
恋愛依存症者には、保護者との適切な絆が十分でなかったり、幼児期に見捨てられた(またはそう感じた)つらい経験があります。
子供はどれだけ面倒をみてもらえるかによって、自分が愛されているかを感じ取ります。
世話をされることが「あなたは大切で、大事で、愛されている存在ですよ」というメッセージを伝えるのです。
親から十分な幹や愛情を受けることができないと、自尊心を持つことがとても難しくなります。
恋愛依存症者は保護者に面倒をみてもらえず、自己の一部分が成長する機会を与えられなかったために、幼児期に深い痛みと悲しみ、強烈な喪失感を経験しています。
誰かがきっと救い出してくれるという幻想
親から見捨てられた激しい苦痛から逃避する方法の一つとして、子供はヒーローが救い出してくれる幻想を抱きます。
こうした幻想はおとぎ話の『眠り姫』に似ています。
自分自身の意識とも周囲の環境とも隔絶された場所で眠っていたお姫様は、素敵な王子様のキスで命を吹き返し、目を覚ますのです。
こうした幻想に浸ると、夢のような心地になるので、子供はこれに多くの時間を費やします。
わたしも子どもの頃、素敵な騎士の夢をみて何時間も過ごしました。
気分が優れないときには幻想に浸りました。
心のなかで理想的な情景を描いて、そこに思いを馳せると、ある感情反応が刺激されて体内でエンドルフィンが放出されると考えられています。
エンドルフィンは実際に感情的な苦痛を和らげて、幸福感を生み出します。
子どもたちは空想上のヒーローと絆を持つことで、『眠り姫』のように生かされ、安心し、ついには価値のある人間になれると信じるようになるのです。
そして大人になっても、このような救済者幻想を実現してくれる誰かを探し求め続けるのです。
植えつけられた無力感
親が子どもを見捨てる場合、その子どもは「おまえには世話をしてやる価値はない」というメッセージを受け取ります。
子どもは保護者に見捨てられたことによって、外界からの愛情や支えを手に入れることができません。
また、未熟なまま誰も健全な愛情とは何かを教えてくれないために、自分を愛することも、支えることも学習できません。
ですから恋愛依存症者のほとんどは、大人の人間関係を築こうというときに、すでに自分は不完全で無価値であるという感覚を持っていて、自分を愛することなどできないと「確信」しているのです。
恋愛依存は共依存の苦痛を和らげるための薬
恋愛依存症者には、現実(相手の本当の姿)に対する歪んだ考えが顕著に見受けられます。
共依存による苦痛があまりに悪化すると、わたしたちの多くは痛みを和らげてくれる「アディクション」に頼るようになります。
それ以外に痛みを緩和させる方法を知らないからです。
自己との健全な関係が欠如していることで生じる苦痛を、薬物や強迫行動、または自分以外の人間によって和らげようとするのです。
相手のことが頭から離れず、一緒にいたいと思い、感情的にも物理的にもあらゆる形で繋がりを持とうとする執着心は、恋愛「依存」の一症状なのです。
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