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なぜすぐに愛する人を救おうとするのか?
ダメ男の彼のためにすべてを犠牲にするべきだと言われたら、頭では否定するかもしれません。
しかし、彼に「これが最後だから助けてほしい。助けてくれれば何もかもうまくいくんだ」と頼まれ、愛していると言われたら、なかなかノーとは言えません。
それどころか、もしノーと言えば自分が酷い人間になったような気がするでしょう。
愛情=救うことだと思ったとたん、自分が求めているものや二人の関係のほんとうの目的を見失ってしまいます。
相手を救うことで自分が立派な人間になったような気がする
私たちの社会では、人助けをした人は褒められます。
つまり落ちぶれた人を助けるのは、立派で道義的に正しいとされているのです。
助ける過程で多少自分を犠牲にすれば、その行為はさらに立派なものとされますが、私たちが見落としがちなのは、個人的な恋愛関係においてはバランスがきわめて重要なので、そうした価値観はあてはまらないということです。
相手のためにつねに犠牲になっていると、恨みや怒りが生じ、愛情が消えてしまう場合が非常に多いのです。
立派でもなければ、正しくもありません。
与えることは常にいいことだとか、立派だ、正しい、などという考えにとらわれていると、自分が犠牲にしているものを軽視しがちです。
その結果、恨みや怒りを抱き、消耗してイライラし、おとしめられている状況を忘れたり、合理化したり、我慢することが正しいと思い込むようになってしまうのです。
救うという行為は報われるはずだと思っている
誰かに救ってもらったら、あなたならいつまでも感謝するはずだと思うでしょう。
ところが実際には、救われる側は、何かしてもらったことにたいして、あまり、あるいはまったく感謝しないものです。
なぜなら、与えられるばかりの人間(ダメ男)はたいてい、自分には与えられる権利があると思っているからです。
救われるダメ人間側の心理状況というのは、次のように考えています。
『僕は助けを必要としている人間で、誰かを助けてやるような身分じゃない。』
『いつかもし成功したら、もちろん人助けだってするつもりだ。』
『でもいまの状況じゃ誰かを助けるなんて考えられない。』
『彼女は僕を愛してるから助けてくれる。』
あなたと彼が対等の関係にあれば、彼は助けてもらったことにたいして、あなたならそうするように、感謝や尊敬の気持ちを示したり、お返しをしたりするだろう、と心の底であなたは思っているはずです。
そして彼もやがて力を取り戻すだろうから、いつまでもあなたが彼を救うということにはならない、という心理が働きます。
しかし、常にあなたが彼を救っているとしたら、明らかに彼はあなたと同じようには考えていないのです。
救うことで他人を支配する
ダメ男な彼を救った場合、彼はあなたに負い目をもつようになるため、あなたは彼を支配する独占欲や満足感といった、心理的欲求を満たすことができます。
ダメ男な彼を救っている限りあなたは、助けてもらっていると思い出させたり、貸したお金のことで罪悪感を覚えさせたりして、彼があなたのふるまいについて文句を言わないように、どんな問題に関してもあなたに逆らおうとしないような、心理的欲求が強く働いているのです。
相手を救おうとする人が常に与えっぱなしになる理由の1つは、見返りについて口にしたり、要求したりしないためですが、実は間接的に見返りを期待しているのです。
たとえば、ダメ男の彼にお金をあげるときには、これで彼が離れていくことはないだろうと思うかもしれません。
あるいは、生き方についてアドバイスするときには、ダメ男の彼がその通りにすることを期待しているでしょう。
もちろん、もし彼がお金を返さなかったり、アドバイスどおりにしなくても、あなたは、はっきり見返りを要求したりはしないでしょう。
しかし、彼があなたに恩義があることは二人とも分かっているので、カのバランスはあなたの方に傾きます。
救おうとする人の深層心理は、この一見分かりにくい一種の脅しによって力を得、一歩先んじようとしてもいるのです。
相手を救うことで自分の人生と向き合わずに済ませる
どんなに強い人でも他人から愛情や、思いやりを補給する必要があります。
他人を救おうとする人は、感情面で人から栄養を与えてもらう必要があるという事実を見落としているので、与えてもらおうともしません。
それに、もともと愛情や思いやりを与える人は与えてもらうことが不得意です。
どうすればいいのか分からないのです。
はっきりと要求したりもしません。
なぜなら、ダメ男が好きな女性の隠れた心理に、応えてもらえずにがっかりすることになるだろうと思っているからです。
そして失望を味わわないように、本当の気持ちを否定し、満足しているふりをしています。
けれども遅かれ早かれ、本当の気持ちは表に出てしまうものです。
それでも根っから人を救おうとするダメ男が好きな女性は、彼を助けるのはやめた方がいいかもしれないとは考えもせず、もっと助けてあげれば、最後には彼も私がどんなにいい人間か分かり、頼りになってくれるだろうと期待しているのです。
自分を必要としてくれる人に惹かれる
困っている人を見て助けてあげたい、状況をよくしてあげたいと思うのは、ごく普通の心理状況です。
困っている人に背を向けろと言うつもりはありません。
しかし、ダメ男の彼に救いの手をさしのべる前に、なぜどのようにして、彼がダメ男な状況におちいったのか、以前にも同じことがあったのか、以前その問題を解決するために彼は何をしたのかを知る必要があります。
自分で切り抜けようとする彼の努力を上回って、こちらから助けようとするべきではありません。
いつも問題を抱えているダメ男が好きになるという場合、バランスのとれていない関係が気に入っていて、それを続けるためにわざと弱い男性を選んでいるという心理的欲求が働いている可能性が考えられます。
弱い親の面倒をみることに慣れているために、弱い男性に惹かれてしまう場合もあります。
または、自分の要求に相手が応じてくれなかったときに喧嘩になるのが嫌なので、はじめから期待できないダメ男と一緒にいるほうが楽だと、心の底で思っているのかもしれません。
あるいは、自分は価値のない人間だから、彼にしてあげられるのは面倒をみることくらいしかないと、心の底で思っているのかもしれません。
そうした場合、健全で満ち足りた関係ではどうふるまっていいかわからず、自分は成熟した男性には必要とされないと思いこんでいたりします。
彼が問題を抱えているのは分かっているけど、少なくともわたしを必要としているから別れようとはしないはずとさえ思っているかもしれません。
理解を示したい
私たちは皆、自分が情け深く寛大だと思いたがっています。
何らかの問題を抱える人があまりに多い現代では、例えば麻薬やアルコール依存症者などにたいして、ある程度理解を示せることが自慢になります。
そうした問題に苦しんでいる彼を理解し、忍耐強く思いやりある態度で、彼が問題にとりくむのを助けることは間違っていません。
しかしこれは、彼の過去あるいは現在の問題をはっきりさせ、二人の関係を築いていくこととは違います。
問題を抱えているのは、ダメ男と言われる彼だけではありません。
誰にも問題はあります。
うまく人生を送っている人といつまでも危うい状態で暮らしている人の違いは、生まれながらに配られたカードの違いではなく、そのカードでどのように勝負しようとするかなのです。
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